~リビングデザインセンターOZONEセミナーより~
リビングデザインセンターOZONEにて、「ミラノサローネ&エウロルーチェ2025」の速報セミナーに参加してきました。講師として登壇されたのは、ホームファッションラボの堀 和子先生。実際に現地を訪れ、肌で感じ取った空気感や最新のデザイントレンドについて語られました。
■ 世界最大のデザイン見本市、63回目の開催
今年のミラノサローネ(Salone del Mobile)は、イタリア・ミラノ郊外「フィエラ・ミラノ・ロ」にて2025年4月8日〜13日開催され、63回目を迎えました。スローガンは、
「新たな挑戦・未来にふさわしい世界の構築」
そしてサブテーマとして掲げられたのは、次の3点です:
産業製造業の在り方
持続可能な革新(サステナブル・イノベーション)
エモーショナル・インテリジェンス(感情知性)
人間の身体・感覚・心地よさを中心に据えつつも、木材・金属・バイオプラスチックといった素材と産業製造の融合が、デザインに新たな可能性をもたらしている点が注目されました。
■ 印象的なデザイン事例
● ガラスと水が織りなす“感情に訴える”融合
チェコのガラスブランド「Lasvit」によるインスタレーション《Soaked in Light》が印象的でした。水の動きを思わせる繊細なガラスのフォルムは、静寂で穏やかな時間を演出。床に落ちる影までもが有機的に変化し、空間に躍動感と詩情をもたらしていました。
● ソフト&オーガニックなフォルムの家具
今年のトレンドの一つとして挙げられるのが、“Wide & Comfy(幅広く、心地よい)”というスタイル。丸みを帯びた曲線のデザインが多く見られ、整列された幾何学的な形ではなく、有機的で柔らかなフォルムが主流に。特に、高反発で包み込まれるような座り心地のソファが人気を集めていました。
このような流れは、1960~70年代のデザイン要素を現代的に解釈したレトロ回帰、および未来的要素を加えたレトロフューチャリズムの視点からも非常に興味深いトピックとなっています。
展示会全体の潮流をもとに、住まいや空間づくりに活かせるヒントが共有されています。空間デザインやインテリアの今後を占う上でも、大変示唆に富んだ内容でした。